2018年05月21日
サピエンス全史より
さて、今回の門カフェのテーマは「サピエンス全史と獣性」です。
以前、NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられた、
ユヴァル・ノア・ハラリさんの書いた「サピエンス全史」
その著書を通して、サピエンスと獣性との関係を、考えてみたいと思います。
ハラリさんの執筆のテーマ
「捕食者を恐れて細々と暮らしていた「サピエンス」が、
なぜ「食物連鎖の頂点」に立ち、地球を支配するように至ったのか・・・?」
同じく人類種である「ネアンデルタール人」と共存の時代があったにも関わらず、
なぜ「ネアンデルタール人」は絶滅し、「サピエンス」は生き残ったのか・・・・?
まずは「サピエンス」の歴史を「さー!」と見てみましょう。
今から1万年以前は、他の人類種と同様、狩猟採集の生活をしていた「サピエンス」
約1万年前から、農業革命により定住生活へ移行します。
これまでの定説だと、定住生活が始まり、巨大建造物が作られたと考えられていますが、
イギリスのストーンヘンジやトルコのキョベクリ・テベ遺跡など、
定住の形跡が見られない巨大建造物が、発掘されています。
そこで、最近では、
巨大建造物を作り保存するために、定住の必要性に迫られ定住生活が始まったという
新たな説も登場しているようです。
ハラリ氏によれば、小麦やトウモロコシなどの単一栽培による定住生活は、
気候変動による絶滅の危機を招きかねないと、リスクの大きさを重視します。
狩猟採集生活の場合、食を求めて移動をすれば生き残れますが、
定住生活の場合、簡単に移動はできないので集団絶滅の危険性が高いというのです。
ではなぜ、絶滅の危険性が高いにも関わらず、定住生活を選択したのか?
それは、「共同主観的な世界の構築」のためだと、ハラリ氏は言います。
そして、それこそが、「サピエンス」が他の人類種と違い、進化した理由だというのです。
ハラリ氏によると、「集団生活の規模には限度がある」といいます。
現代でも、1000人以上、いや100人を超える規模の人間の集団をまとめるのは
かなり難しいと思いますよね。
今沖縄はシーミーのシーズンです。
尚家が玉陵(タマウドゥン)で40年ぶりに「シーミー」をしたという記事を見ました。
私はまだ家族墓ですので、「シーミー」も楽ですが、
門中墓になると、まとめるのも大変でしょうね。容易に想像がつきますね。
血族でさえそうですから、
血のつながりのない集団を100人、1000人従えるのは大変だと思いますね。
それを可能にしたのが、先ほど述べた「共同主観的な世界の構築」
それを、わかりやすく言い換えると、「神話」「伝説」「神々」「宗教」などの創作です。
ネアンデルタール人は「近くにライオンがいる気をつけろ」
という情報共有はしたでしょうが、
「ライオンは我々の守護神だ」というような情報共有はなかったのです。
サピエンスは、「ライオンは我々の守護神だ」
ライオンが我々を守っているという想像上の世界観を、現実世界に作り上げよう。
しかもその創造物が大きければ大きいほど、多くの「サピエンス」の信頼が得られる。
それが、巨大建造物の始まりだと、ハラリ氏はいうのです。
ライオンが守護神だという世界観の中に入りたい人々は積極的に協働作業に従事する。
そのような、世界観を物語る「想像力」
これが、集団の規模を1000人以上、
そして最終的にはローマ帝国のような異民族支配をも可能にしたのです。
サピエンスの進化を支えた、共同主観的世界観構築のツールが
「宗教」であり「帝国」であり、そして最大の普遍的ツールが「貨幣」だとハラリ氏は言います。
ローマ帝国は貨幣に皇帝の肖像を刻印しました。
それが、東アジアや北アフリカそしてヨーロッパにまで流通し、
地中海のローマ帝国という世界観を作り出し、そのローマ軍の侵入を容易にしたのです。
ローマ帝国の世界観を受け入れるかそれとも死か?
そしてこの共同主観的世界観のツールの現代版は、
「自由」「人権」「国民」「国家」「企業」「法制度」・・・なのです。
「自由」を受け入れるか死か? 「国家」を守るか死か? 「法制度」を維持するか死か?
そして、「サピエンス」は今から500年前さらなる進化をします。
それが「科学革命」です。
人類だけではなく、他のあらゆる生命の運命や、
そして、同じ人類の中の他の民族の運命を変え得るまで進化したのです。
スペイン・ポルトガルは大航海時代、富を求めて世界へ旅立ちます。
国王の絶大なる資金援助の基、
世界へ進出、金や香辛料などを手に経済発展をもたらします。
しかし大航海には失敗もつきもの、遭難、海賊、熱帯地方の疫病などにより、
投資資金を一気に失うなど大きなリスクもありました。
また、隣国との戦争で国王の資金も不安定。
そんなな中登場した新たな資金源が、オランダ・イギリスの株式というシステムです。
これもハラリ氏によれば、共同主観的世界観のツールです。
いくつかの船団に分散して資金提供し、
そのうち成功した船団から、莫大な富が得られるというシステムです。
そのシステムの下、莫大な資金が、科学者や冒険家たちに投じられ、
新大陸発見や新資源の発見、新素材の発見、新エネルギーの発見につながり、
投資家たちは経済的に莫大な利益を得ます。
そして投資家たちは新たな発見へ、資金提供し、
資金を受けた、科学者、冒険家たちは新たな発見を求め、研究開発、冒険へと突き進みます。
この帝国主義のループ(ハラリ氏の言葉)の下、
絶滅した文明が南米のインカ帝国、アステカ文明などです。
そして、新エネルギーの利権をめぐって第1次・第2次世界大戦と多大な殺戮が行われたのです。
また、人間に有益な動物は、自然と切り離され、
工場の中で科学的に管理され、ベルトコンベアーに乗せられ、人類の食産業を支え、
人間に有害な動植物は殺虫剤やハンティングなどで絶滅へと追いやられています。
このように、「サピエンス」は、
見知らぬ「サピエンス」同士が、協働するシステムツールを持つことにより、
見知らぬ「サピエンス」が一致団結し、他の種、他の生命と向き合い、利用し、絶滅へと追い込み
一方「サピエンス」の進化を阻む、他の「サピエンス」を滅ぼすことによって、進化を続け、
現代のように「食物連鎖の頂点」に立つことができたのです。
以前、NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられた、
ユヴァル・ノア・ハラリさんの書いた「サピエンス全史」
その著書を通して、サピエンスと獣性との関係を、考えてみたいと思います。
ハラリさんの執筆のテーマ
「捕食者を恐れて細々と暮らしていた「サピエンス」が、
なぜ「食物連鎖の頂点」に立ち、地球を支配するように至ったのか・・・?」
同じく人類種である「ネアンデルタール人」と共存の時代があったにも関わらず、
なぜ「ネアンデルタール人」は絶滅し、「サピエンス」は生き残ったのか・・・・?
まずは「サピエンス」の歴史を「さー!」と見てみましょう。
今から1万年以前は、他の人類種と同様、狩猟採集の生活をしていた「サピエンス」
約1万年前から、農業革命により定住生活へ移行します。
これまでの定説だと、定住生活が始まり、巨大建造物が作られたと考えられていますが、
イギリスのストーンヘンジやトルコのキョベクリ・テベ遺跡など、
定住の形跡が見られない巨大建造物が、発掘されています。
そこで、最近では、
巨大建造物を作り保存するために、定住の必要性に迫られ定住生活が始まったという
新たな説も登場しているようです。
ハラリ氏によれば、小麦やトウモロコシなどの単一栽培による定住生活は、
気候変動による絶滅の危機を招きかねないと、リスクの大きさを重視します。
狩猟採集生活の場合、食を求めて移動をすれば生き残れますが、
定住生活の場合、簡単に移動はできないので集団絶滅の危険性が高いというのです。
ではなぜ、絶滅の危険性が高いにも関わらず、定住生活を選択したのか?
それは、「共同主観的な世界の構築」のためだと、ハラリ氏は言います。
そして、それこそが、「サピエンス」が他の人類種と違い、進化した理由だというのです。
ハラリ氏によると、「集団生活の規模には限度がある」といいます。
現代でも、1000人以上、いや100人を超える規模の人間の集団をまとめるのは
かなり難しいと思いますよね。
今沖縄はシーミーのシーズンです。
尚家が玉陵(タマウドゥン)で40年ぶりに「シーミー」をしたという記事を見ました。
私はまだ家族墓ですので、「シーミー」も楽ですが、
門中墓になると、まとめるのも大変でしょうね。容易に想像がつきますね。
血族でさえそうですから、
血のつながりのない集団を100人、1000人従えるのは大変だと思いますね。
それを可能にしたのが、先ほど述べた「共同主観的な世界の構築」
それを、わかりやすく言い換えると、「神話」「伝説」「神々」「宗教」などの創作です。
ネアンデルタール人は「近くにライオンがいる気をつけろ」
という情報共有はしたでしょうが、
「ライオンは我々の守護神だ」というような情報共有はなかったのです。
サピエンスは、「ライオンは我々の守護神だ」
ライオンが我々を守っているという想像上の世界観を、現実世界に作り上げよう。
しかもその創造物が大きければ大きいほど、多くの「サピエンス」の信頼が得られる。
それが、巨大建造物の始まりだと、ハラリ氏はいうのです。
ライオンが守護神だという世界観の中に入りたい人々は積極的に協働作業に従事する。
そのような、世界観を物語る「想像力」
これが、集団の規模を1000人以上、
そして最終的にはローマ帝国のような異民族支配をも可能にしたのです。
サピエンスの進化を支えた、共同主観的世界観構築のツールが
「宗教」であり「帝国」であり、そして最大の普遍的ツールが「貨幣」だとハラリ氏は言います。
ローマ帝国は貨幣に皇帝の肖像を刻印しました。
それが、東アジアや北アフリカそしてヨーロッパにまで流通し、
地中海のローマ帝国という世界観を作り出し、そのローマ軍の侵入を容易にしたのです。
ローマ帝国の世界観を受け入れるかそれとも死か?
そしてこの共同主観的世界観のツールの現代版は、
「自由」「人権」「国民」「国家」「企業」「法制度」・・・なのです。
「自由」を受け入れるか死か? 「国家」を守るか死か? 「法制度」を維持するか死か?
そして、「サピエンス」は今から500年前さらなる進化をします。
それが「科学革命」です。
人類だけではなく、他のあらゆる生命の運命や、
そして、同じ人類の中の他の民族の運命を変え得るまで進化したのです。
スペイン・ポルトガルは大航海時代、富を求めて世界へ旅立ちます。
国王の絶大なる資金援助の基、
世界へ進出、金や香辛料などを手に経済発展をもたらします。
しかし大航海には失敗もつきもの、遭難、海賊、熱帯地方の疫病などにより、
投資資金を一気に失うなど大きなリスクもありました。
また、隣国との戦争で国王の資金も不安定。
そんなな中登場した新たな資金源が、オランダ・イギリスの株式というシステムです。
これもハラリ氏によれば、共同主観的世界観のツールです。
いくつかの船団に分散して資金提供し、
そのうち成功した船団から、莫大な富が得られるというシステムです。
そのシステムの下、莫大な資金が、科学者や冒険家たちに投じられ、
新大陸発見や新資源の発見、新素材の発見、新エネルギーの発見につながり、
投資家たちは経済的に莫大な利益を得ます。
そして投資家たちは新たな発見へ、資金提供し、
資金を受けた、科学者、冒険家たちは新たな発見を求め、研究開発、冒険へと突き進みます。
この帝国主義のループ(ハラリ氏の言葉)の下、
絶滅した文明が南米のインカ帝国、アステカ文明などです。
そして、新エネルギーの利権をめぐって第1次・第2次世界大戦と多大な殺戮が行われたのです。
また、人間に有益な動物は、自然と切り離され、
工場の中で科学的に管理され、ベルトコンベアーに乗せられ、人類の食産業を支え、
人間に有害な動植物は殺虫剤やハンティングなどで絶滅へと追いやられています。
このように、「サピエンス」は、
見知らぬ「サピエンス」同士が、協働するシステムツールを持つことにより、
見知らぬ「サピエンス」が一致団結し、他の種、他の生命と向き合い、利用し、絶滅へと追い込み
一方「サピエンス」の進化を阻む、他の「サピエンス」を滅ぼすことによって、進化を続け、
現代のように「食物連鎖の頂点」に立つことができたのです。
Posted by ソクラテス at 19:04
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