2012年03月19日

比較と幸福感


書生シマコです。


確定申告が 終わると ほっとしますねー

毎年 この時期に感じる解放感。

その夜に飲む ビールのおいしいことと言ったら…

普通のビールが、プレミアム。


苦は楽の為のスパイス…、って誰が言ったんでしょう(激しく同意)。


さて、次回の古今思想講座のテーマは 『 幸 福 』 です。


友人との ある日の会話。

友人の言葉が 心に引っ掛かり

その言葉が取り巻くものを考えてみました。

会話の内容は、友人が

重度の身体的な障害をもつお子さんの両親に接したときに、

自身の手中にある幸せに気づかされた…ということを語ってくれました。

この両親に比べれば、自分の悩みなんて ちっぽけなもの、

夫も子供も健康なのに、私は些細なことを憂いでばかり…、と。


後日、その友人に会ったとき、再度 同じような内容の話をしていました。

今回は別の『大変そうな人』と 自身を比べて。


友人の、自らの幸福を 他者との 『比較』で 感じることに

すこし違和感を感じたのです。

友人が幸せを感じる為には、毎回、困難を抱えた他者が

必要なのでは?

困ってる人=幸福ではない?


私の職場には 曽野綾子さんの『日めくりカレンダー』が壁にかかっており

このような頁があります。


比較と幸福感

生きる人の姿勢には

大きく分けて二つの生き方がある。

得られなかったものを

数えて落ち込んでいる人と、

幸いにも もらったものを

大切に数え上げている人と、である。



手にしているものを 数えて 感謝するのか、

持っていないものを数えて、憂うのか。



比較して、自らの幸せに気がつくことは、

大切なことだと思います。



夫の知人の話です。

その方のお子さんが小学生の頃から 東南アジアへ家族旅行で

頻繁に訪れたそうです。

観光地ではなく、地元の人の生活がみえる場所に。


その目的は、日本で生まれたという恵まれた境遇を

子どもに肌で感じてもらうため、だそう。

百聞は一見にしかず。


私は仕事でインドネシアのジャカルタに行ったとき、

信号待ちの度に、子どもたちが車に物乞いに来るのに接して

何度も胸がつまりました。

中には 赤ちゃんを おぶっている子もいました。


地元の富裕層や旅行客しか入れないショッピングセンターに

行ったときのこと。

買い物をしている家族(多くは華僑)に、つかずはなれずの距離で

小学生くらいの女の子が後ろを付いていたのです。

あどけない顔、子どもらしさを抑えた佇まい、質素な服装の女の子。


ガイドの方に聞くと、メイドなのだそうです。

地元のインドネシア人の女の子。


私と同じような仕事(設計)に携わる女性と話をする機会があったので

聞いてみました。

「この国で 貧民層(全体の85%)に生まれたとしても

努力をすれば この仕事に就ける?」

彼女は首を振りました。

15%の家庭に生まれないと 無理だろう、と。


私も比較をすることで、自らの恵まれた境遇を 知りました。


1冊の本のことが 思い浮かびました。


「世界がもし 100人の村だったら」


この本は 人類全体を俯瞰して、比較しています。

 もし冷蔵庫に食べ物があり、着る服があり、

 頭の上に屋根があり、寝る場所があるなら...

 あなたは世界の75%の人たちより裕福で恵まれています。


 もし銀行に預金があり、お財布にお金があり、

 家のどこかに小銭が入った入れ物があるなら...

 あなたはこの世界の中でもっとも裕福な、上から8%のうちのひとりです。


日本人のほとんどは、上位8%に入るようです。



比較することで 恵まれていることに気がつくこともありますが

逆に 落ち込むことも多々あります。


容姿、学歴、生い立ち、環境、能力、財産…

「隣の芝生は青くみえる」

人は 所有しているものを比べて、劣等感を抱きます。


ときには 優越感も…



仏陀は 二極間(劣等感と優越感)の終わりなき思考のループ(=比較)から

抜け出し、いつでも、どこでも、どんな状況でも

心が満たされている状態を目指すことを 説いています。


「恒常的な幸福」の境地です。


私の文章、毎回 オチはブッダのような気がするのですが(笑)

次回、恒常的な幸福について 思うことを書きます。



追記:

先進国に住む私たちが物質的な豊かさを手に入れた代償に 失ったもの…

そのひとつは『逞しさ』ではないでしょうか。


アフリカでは日常茶飯事な光景を見て、そう思いました。

生きものとしての、逞しさ。


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Posted by ソクラテス at 15:18 │幸福